名古屋地方裁判所 昭和62年(わ)2020号 判決 1988年3月24日
主文
被告人を懲役一年六月に処する。
この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、名古屋市北区八代町《番地省略》において、「むうびいはうすルビー」の名称で複製のビデオカセットテープのリース業を営んでいたものであるが、
第一 Aほか一名と共謀の上、東映ビデオ株式会社ほか一社が著作権を有する映画の著作物及び社団法人日本音楽著作権協会が著作権を有する音楽の著作物である「大奥十八景」ほか六点の複製ビデオカセットテープ合計七三本を、右各著作権者らの許諾を得ずに複製されたものであることの情を知りながら、別紙第一、第二、第三記載のとおり、昭和六一年一一月四日から同六二年六月一六日までの間、前後七三回にわたり、愛知県西春日井郡西枇杷島町《番地省略》所在の合名会社A枇杷島店及び同町弁天町《番地省略》西枇杷島ショッピングセンター内西枇杷島SC店において、Bほか五六名に対し、一本につき貸出日から三日間で五〇〇円ないし六〇〇円、延長の場合は一日につき二〇〇円(金額合計四万五、二〇〇円)の料金で賃貸して頒布し、
第二 Cほか一名と共謀の上、東映ビデオ株式会社ほか一社が著作権を有する映画の著作物及び社団法人日本音楽著作権協会が著作権を有する音楽の著作物である「ビー・バップ・ハイスクール」ほか五点の複製ビデオカセットテープ合計二五本を、右各著作権者らの許諾を得ずに複製されたものであることの情を知りながら、別紙第四、第五記載のとおり、昭和六一年二月二一日から同六二年六月一四日までの間、前後二五回にわたり、愛知県海部郡大治町《番地省略》レジデンス大堀一階所在のイエローブックセラーズ店において、D子ほか一八名に対し、一本につき貸出日から三日間で五〇〇円ないし六〇〇円、延長の場合は一日につき二〇〇円(金額合計一万六、六〇〇円)の料金で賃貸して頒布し、
第三 Eと共謀の上、東映ビデオ株式会社ほか一社が著作権を有する映画の著作物及び社団法人日本音楽著作権協会が著作権を有する音楽の著作物である「道」ほか六点の複製ビデオカセットテープ合計一二本を、右各著作権者らの許諾を得ずに複製されたものであることの情を知りながら、別紙第六、第七記載のとおり、昭和六二年三月六日から同年六月一四日までの間、前後一二回にわたり、愛知県西春日井郡清洲町《番地省略》の有限会社E清洲店において、F子ほか九名に対し、一本につき貸出日から三日間で六〇〇円、延長の場合は一日につき二〇〇円(金額合計七、二〇〇円)の料金で賃貸して頒布し、
第四 Gほか一名と共謀の上、東映ビデオ株式会社ほか一社が著作権を有する映画の著作物及び社団法人日本音楽著作権協会が著作権を有する音楽の著作物である「ビー・バップ・ハイスクール高校与太郎哀歌」ほか六点の複製ビデオカセットテープ合計二五本を、右各著作権者らの許諾を得ずに複製されたものであることの情を知りながら、別紙第八、第九、第一〇記載のとおり、昭和六二年一月三日から同年六月一〇日までの間、前後二五回にわたり、名古屋市中村区佐古前町《番地省略》所在の有限会社G書店及び同市西区上小田井《番地省略》スーパーヤマナカ小田井店内所在の有限会社G書店ヤマナカ小田井店において、Hほか二二名に対し、一本につき貸出日から三日間で五〇〇円ないし六〇〇円、延長の場合は一日につき二〇〇円(金額合計一万四、九〇〇円)の料金で賃貸して頒布し、
もって前記東映ビデオ株式会社ほか二社の著作権を侵害したものである。
(証拠の標目)《省略》
(法令の適用)
被告人の判示第一ないし第四の所為は、いずれも刑法六〇条、著作権法一一九条一号に該当するところ、判示第一ないし第四の罪についていずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一年六月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。
よって主文のとおり判決する。
(裁判官 宮平隆介)
<以下省略>